概日リズム障害(不規則な睡眠リズム)
概日リズム睡眠障害とは、子どもに備わっている体内時計の周期が外界の24時間周期に同調できない睡眠障害です。
もう少しくだけた言い方をすれば、子どもの体内時計が昼夜のサイクルと合っていない状態です。
具体的な症状としては、
- 昼夜逆転した睡眠になる
- 昼ごろまで寝ていて、深夜に活動する。
- 寝る時間、起きる時間がバラバラで日常生活に支障がある。
この概日リズムとは、別名「サーカディアンリズム」と呼ばれ、地球が自転で1回転する24時間を基本として、太陽が登って朝になると目を覚まし、日が沈んで夜になると自然に眠くなるリズムのことです。
サーカディアンリズムと子どもの体内時計がうまく合わず、調整困難にまで悪化すると、睡眠リズムが乱れて、学校生活や社会生活に支障をきたします。特に小学校以降の子どもでは、学校を遅刻して不登校につながる可能性が高くなります。
概日リズム障害のタイプは大きく分けて5つあります。
- 夜には入眠するが、昼以降まで目覚めない(長時間睡眠型)
- 明け方に寝て、昼以降まで目覚めない(睡眠覚醒相後進障害)
- 夕方に寝て、深夜0時過ぎに目覚める(睡眠覚醒相前進障害)
- 起きる時間、寝る時間が毎日バラバラ(不規則睡眠覚醒リズム障害)
- 昼夜逆転している。(非24時間睡眠覚醒リズム障害)
このうち、長時間睡眠型や睡眠覚醒相後進障害の子どもは学校に行きたくても、朝に起きることが出来ないために病院を受診することが多いです。
この障害のベースには、起立性調節障害や慢性疲労症候群、脳脊髄液減少症などがあることが多いので、適切な診断と行動療法が必要になります。
実際の患者さん
患者さんは中学校3年生の男の子
小学生のときからサッカークラブに入って活躍していましたが、サッカー強豪校の中学に入学後、練習が遅いなどと叱られ、部員から色々からかわれるようになり、徐々に学校に行くのが嫌になりました。
中学校2年生の春から朝起きようとするとフラフラして登校できなくなり、小児科を受診しました。そこで起立性調節障害の診断を受け、お薬などを処方されましたが改善しませんでした。中学校3年生から布団に入るのが午前2-4時、起床は夕方の3時頃となってしまい、全く登校できなくなりました。
他の小児科を受診したものの、「なまけ病」や「自閉症」などと診断され、検査も受けていませんでした。しかし母親がネットで「概日リズム睡眠障害」の記事をみて、専門医を受診したところ睡眠障害による不登校と診断。睡眠覚醒指導を受けて徐々に睡眠リズムがよくなってきています。