家庭で出来る子どもの睡眠改善方法

こどもの睡眠障害について
スリープエデュケーションとは

子供の健康な眠りを望まない親はいないと思いますが、子ども自体は何が健康で、どのような眠りが良いのかを知りません。そのため、健康な眠りのためにどんなことをすると良いのか、あるいはどんなことを避けるべきか、教えてあげる必要があります。

とくに、「すぐに寝付けない」「夜中に何度も起きる」「朝起きれずに苦労する」などの睡眠障害がある子どもには、なるべく理解しやすい言葉で、子どもの好きなキャラクターなどを使いながら、「これは良い眠りにつながります」「これをすると良くない眠りにつながります」と子どもの疑問に答えながら納得してもらうようにしましょう。

実際の対応

  • 太陽の光を浴びる日中の活動を増やしましょう
    眠りを改善するためには、日中の活動量を増やす(外遊びや散歩など)、朝日や日光を浴びるようにすることが大切です。
    さらに、朝起きたときは、最低10分程度、日差しが顔や身体にあたるように窓際で過ごすことが大切です。カーテンを閉めていたり、雨戸を閉じていたりすると、サーカディアンリズムの乱れにつながります。
  • 布団に入るのは子どもが眠くなってから
    ぜんぜん眠くないのに、午後8時になったら必ず布団に入る、朝が早いから夕食後に時間をあけずに布団に入れる、これは入眠困難につながります。
    布団に入っても「どうせ、すぐには眠れない」などの否定的な気分がわくようになると、「寝室や布団自体」=「そこで経験した不快感」がセットになって学習され、最後には布団を見ると嫌な気分を抱くようになってしまいます。
    このような事態にならないように「布団に入っているのに、眠れない時間を減らす」ことが大切です。布団に入って20〜30分眠れない時は一旦布団からでる。眠くないのに無理やり布団には入れない、もし同じ時間に寝させたいけれど、子どもが眠くなさそうな時は、静かで、やや暗い環境で、ソファーやクッションの上で過ごすなどの工夫が必要です。
  • 夕食は早く、お風呂は熱すぎないように
    夕食は早ければ早いほうがいいです。少なくとも19時までには食べ終わるように努力しましょう。それが難しければ、最低でも就寝2時間前までには夕食を終わらせてください。また、夕食後のおやつや夜食は成長ホルモンの分泌を悪化させるので食べない習慣をつくりましょう。
    お風呂は就寝の2時間前までに入って、体温が徐々に下がった状態で布団に入るように心がけてください。熱いお風呂は交感神経を活性化し、入眠困難の原因となりますから避けましょう。
  • 毎朝同じ時間に起こしましょう。
    寝るのが遅かったから、朝ゆっくり補おう、という考えはやめましょう。遅く起きると、その分夜の眠気が訪れるのも遅くなるので、より一層睡眠のリズムが不安定になっていきます。また、夕方以降の昼寝もよくありません。
    眠そうになったら、外に連れ出したり、子どもの興味のある作業を一緒に行ったりして、夜まで寝ないように頑張ってください。そして、週末も平日と同じ時間に起こすようにしましょう。どうしても朝ゆっくりしたい時は、平日より90分まで遅く(それ以上は睡眠リズムを乱します)を心がけましょう。
  • 朝食を食べましょう。
    体内時計を適切に保つためには、決まった時間に食事を取ることが大切です。とりわけ朝食は体内時計の安定と活性化に重要な役割を担っています。さらに眠っていた時に下がっていた深部体温を上げる役割もはたすので、少しでもエネルギーになるものを摂取させて下さい。
  • 就寝前の同じ行動(ルーチンワーク)を作りましょう。
    睡眠障害がある子どもは、夜になると「眠れないかもしれない」「眠れないと怒られる」と自然にプレッシャーがかかっていることがあります。人は同じ行動をとると、気分が安定して、心がやすらぎます。そのためには、就寝前には平日も週末も同じ行動(ルーチンワーク)をしましょう。
    例えば、幼児には夕食後「お風呂」「歯磨き」「トイレ」「読み聞かせ」「お休みの歌」などを毎日繰り返します。学童児には「シャワー」「ドライヤー」「歯磨き」「図鑑やイラスト集などを見る」「部屋の電気を暗くする」などのルーチンワークを崩さないようにしましょう。具体的な就寝の準備をすることで、少しずつ「そろそろ寝るんだな〜」と心の準備を促して、日中の起きている状態から眠りの状態に切り替わっていくようにしましょう。
  • 布団に入ったら楽しい出来事、良かったことを考えましょう。
    布団に入ってから心配事や不安なこと、また日中の悪い出来事を思い出したり、考えたりすると眠りの質を悪くします。
    寝る前に、日中に良かったこと、楽しかったこと、嬉しかったことを子どもと一緒に見つけ出して、その事を話題にして短時間話しましょう。本当にささいなことでも良いのです。もし、子どもが何もないと言ったら、「脱いだ靴を揃えた」「朝元気に出かけた」など小さいことを褒めてあげて下さい。
    思春期では悩みごとも多くなり、布団でもんもんと考えることもありますが、これを習慣化しないように伝えて下さい。ちょっとした嬉しいこと、きれいだったことなどを思い出しながら入眠すると睡眠の質は確実に向上します。
    布団の中で、つらいこと、悲しかったことなどを子どもが話し始めたら、短時間励まして、明日の朝にゆっくり聞くようにしてあげて下さい。「朝起きて聞いてあげるから、安心して寝なさい」という親のメッセージが子どもの睡眠の質を良くします。
  • 寝る30分前にはテレビ、ネット動画、スマホを止めましょう。
    テレビや動画は脳の視覚中枢を刺激し、これは寝付いてもしばらく活動を止めません。また、スマホやPCなどのブルーライトは同じく視覚中枢や前頭葉を活性化してしまいます。寝付いても、脳だけは起きていて、まるで止まらない電車が
    いつまでも動き続けているような状態での睡眠になります。
    動画、スマホは時間が来たらリビニングにおいて、寝室には持ち込まないようにしましょう。もし「布団でもスマホがつかいたい」とごねた場合は、これを続けると成長ホルモンが分泌されず身長が伸びなかったり、肌がくすんだり、学習能力や運動能力が低下することを伝えて、根気よく説得することが大切です。
    家庭では不可能でしたら、病院を受診しましょう。医師や看護師からの説得や、時にはスマホ断捨離のための入院加療も選択肢の一つになりますので、その際は担当医師に相談してください。