レム睡眠とノンレム睡眠
睡眠の段階は大きく分けてレム睡眠とノンレム睡眠の2つがあります。レム睡眠は睡眠中でも目がクリクリと動いて脳が活動している状態、ノンレム睡眠は目の動きがなく脳が休息している状態です。
ノンレム睡眠はステージによりN1,N2、N3(N4)に分類され、N3〜N4の深い睡眠では、脳だけでなく身体も休息している状態です。特に子どもでは、脳の神経回路の伸長、生成などに影響を与えるレム睡眠の割合が成人より多いのが特徴です。
レム睡眠が脳の発達には重要
なぜ赤ちゃんは大人よりよく眠るのでしょうか?
赤ちゃんにとって自分の周りの世界は初めてのものばかりです。そのため、視覚や聴覚、触覚などをフルに働かせて、様々な能力を獲得していきます。この時期の目覚ましい脳の情報ネットワークが、実はレム睡眠中に作られているのです。
レム睡眠は、発達途上の脳の中で神経回路を作り、それをチェックして適切に構築する役割を果たしています。とくに、視覚系の発達に必要な刺激を与えています。
この脳の神経回路や情報ネットワークの発達が遅れたり、正常からずれたりする病気が発達障害です。自閉スペクトラムやADHDは乳児期から幼児期の最も脳が発達する時期に、睡眠不足や遅い入眠時間、夜間の光や音の刺激などが続くことで、脳細胞の適切な発達に支障を来して発症する可能性があることも考えられています。
すやすや眠っている赤ちゃんですが、頭の中はフル稼働。寝る子は育つ、と言いますが、それは身体だけでなく、脳にも言えることなのです。
金縛りとレム睡眠
「金縛り:かなしばり」、何やら怪しい響きですね。睡眠中に目が覚め、体を動かそうとしても動けない、声も出せない、夢かと思うが意識は眠っていないようだ……。このような怖い経験をした方も少なくないと思います。
しかし、これは心霊現象でも怪奇現象でもなく、睡眠リズム障害から来る一つの身体反応です。
睡眠中はこのレム睡眠とノンレム睡眠を交互に繰り返すのですが、金縛りはレム睡眠のときに起こります。レム睡眠中は、脳(+眼球)が起きているのに、首から下の体は筋肉から力が抜けて全身がゆるんでいます。
このとき何かの拍子に脳だけ完全に目が覚めることがあります。体を動かす指令を出しても、眼球を動かす筋肉を除いては、その指令は脊髄で遮断されてしまい、首から下の筋肉に伝わりません。
この現象をレム睡眠遮断とよびます。
そのため意識は起きているのに、体を動かせません。これが金縛りの正体です。金縛りは数秒から数分続きます。この間、目は少し動かすことができても身体をコントロールできません。
どんなに力を入れても、気持ちを集中しても、身体は言うことを聞いてくれないのです。
正しい睡眠のリズムは、まず深い眠りのノンレム睡眠になり、その後に浅い眠りのレム睡眠が現れるということを何回か繰り返します。
寝入りばなに金縛りが起こる子どもは、初めにレム睡眠になっています。これは睡眠のリズムの乱れを表しています。
疲れやストレス、いびき、鼻詰まりなどが原因で睡眠不足となり、睡眠リズムが乱されると金縛りが起こりやすいです。
通常の金縛りは睡眠時間をしっかりとり、身体をお風呂でリラックスさせ、寝る前に楽しいこと、嬉しいことを考えて入眠する習慣が出来ると解消されます。
しかし中には、日中耐えがたい眠気が起こる「ナルコレプシー」という睡眠障害でよく見られる症状の場合もあります。金縛りがたびたび起こるようなら、睡眠障害の専門医に相談しましょう。