睡眠外来での治療法

こどもの睡眠障害について

睡眠外来では、まず子どもの睡眠環境、睡眠状態、睡眠計による計測などを通じて、どのようなタイプの睡眠障害なのか診断します。

その結果から、最も効果的と考えられる治療について本人と保護者に説明して、充分納得してもらってから治療を開始します。

子どもも保護者も、疑問や不安を抱えながらでは決して改善は期待できません。また、治療は数ヶ月から年単位になることがあるので、本人と保護者のモチベーションと協力が欠かせないと考えています。

「寝付けない」=入眠困難

布団に入っても寝付けない、夜10時を過ぎても全く眠くならないなどの症状がある場合は、スムーズな睡眠導入が行えるように手助けするお薬を使います。

一番マイルドな作用のお薬は漢方薬です。抑肝散や柴胡加竜骨牡蛎湯、柴胡桂枝湯、加味逍遥散、加味帰脾湯などが子どもの入眠困難に効果的です。どれを選択するかは、子どもの体格やお腹の張りなどをみて総合的に判断します。

漢方で改善がない、効果が低い場合は、ロゼレムなどのメラトニンに関係するお薬を使用します。入眠困難が重症な場合には、ロゼレムに加えて、クロニジン(クロニジン)を併用すると、大変効果的です。

「途中で起きる」=中途覚醒

おねしょやおトイレで、深夜や明け方に頻回に起きる場合は、まずこれらの治療を優先します。おねしょ=夜尿症にはミニリンメルトなどの抗利尿ホルモン製剤、トイレ覚醒にはベシケアなどの抗コリン薬が有効です。

特に原因がなく、中途覚醒する場合は、アタラックスPやポララミンなどの抗ヒスタミン剤を使います。生活環境や日常生活を整えながら抗ヒスタミン剤を使用しても改善しない、重症な中途覚醒には年齢も考慮しつつ四環系抗うつ薬などを使う場合もあります。

「朝に起きられない」=概日リズム睡眠障害

このタイプの子どもは治療にとても時間がかかります。お薬だけでは改善しないことが多く、日中の活動や日光浴、体温をあげるための自律神経鍛錬法などを並行して行います。また、朝の決まった時間に強い光を当てる高照度光治療を用います。

睡眠時無呼吸症候群やむずむず足症候群

睡眠時無呼吸症候群は、小児耳鼻科の先生と協力しながら睡眠時持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)などを行います。

むずむず足症候群で、血清鉄が低い場合は鉄剤(フェロミア、インクレミンシロップ)を投与します。鉄剤で改善せず、入眠困難が強い子どもには抗てんかん薬の一種であるリボトリールが有効です。